Interview

J.H

岐阜事業部 岐阜リサイクルセンター 主任

工場は、大きな研究室と同じ。
運営改善のために、日々実験に勤しむ。

プロフィール

2015年新卒入社。大学では環境システム工学を専攻し、卒業後、大学院へ進学。環境学研究科で「微生物による土壌・地下水汚染の浄化」を研究し、修士を取得した。
当社インターンシップに参加した際に社員が皆イキイキと働いている姿を見たのと、院で学んだことが活かせる点で、入社を決めた。
1年目から事業推進部で岐阜リサイクルセンターの立ち上げに参画した。西日本豪雨災害の復興支援にも会社の代表として参加するなど、幅広い活躍をしている。

新卒1年目から、新工場の開設プロジェクトに参加。
大学院で学んだことを、仕事に活かせた。

「まさか、こんなプロジェクトに携われるなんて」。これが入社1年目の感想でした。配属となったのは、新事業の開発を担う、事業推進部。当時のミッションは、汚染土壌を浄化する新技術を開発し、その技術を活用した工場を立ち上げることでした。2019年に開業した『岐阜リサイクルセンター』は、まさに、私たちの努力と汗の成果です。開業までの約5年間、私は、濃密な毎日を過ごしました。

最初の約3年は、自社実験室にて、汚染土壌処理施設での実用化に向けた技術検証の日々。具体的には、重金属で汚染された土壌に対して、鉄粉を土にまぶし硫酸と混ぜ合わせることで、汚染物質を鉄粉に吸着させる技術の検証です。模擬汚染土壌を用いた浄化確認試験を繰り返す毎日は、大学院時代の知見が存分に活かせました。しかし、それ以外が未知の世界だったのです。

例えば、汚染土壌処理施設の新設に向けて、プラントメーカーやゼネコンと図面を広げての協議。そこで挙がった検討事項を解決するために、既存の工場担当者へヒアリングを行なったり、自分も現場に赴いて確認するなど、東奔西走の日々。岐阜県初の汚染土壌処理施設ということもあり、県や市に対して事業計画を説明し、許認可を申請。さらには建設地付近の住民の皆様への説明会の実施など、研究職にとどまらない幅広い業務を手掛けました。工場立ち上げまで、あっという間の日々でした。

工場全体の運営管理は、
実験と改善を繰り返す研究室に似てる。

岐阜リサイクルセンターが開設されてからは、工場全体の運営管理が私のミッション。近隣エリアの土木・建設工事で発生した汚染土壌が、毎日大量に入荷されてくるため、土壌の種類や量から工場の稼働状況を予測し、計画を立て、協力会社への指示出しをするのが、私の役目です。

土壌の種類や含まれる岩の種類によって、浄化処理の仕方と生産量は大きく変わります。工場の生産量やコストダウンを図るためにも、処理工程の改善を試みていくことが必要。そこで私は、浄化処理の時間を短縮させるための技術検証を日々行っています。新たな薬剤を処理機械に導入して、処理速度や結果はどう変わるのか、プラント全体でうまく活用するにはどうしたらいいのかを検証しています。最近改善した中で、大きな結果を出せたのが、「高含水の岩ズリ対策」です。

従来、雨天時に入荷されてくる土壌には多量の水が含まれて湿っており、工場内の機械で“土壌が上手に処理できず、詰まってしまう”という現象が起こっていました。それを改善すべく取り組んだのが、工場の入り口で“水を吸う薬剤を土壌に散布する仕組み”を導入し、土壌の水分と湿気を無くすことで、設備が詰まらない対策を施すことでした。結果、雨天時の処理速度が上がり、年間数百万円のコスト削減に成功しました。当社では「改善提案」と呼ばれる業務改善のコンテストがあるのですが、この改善アイデアはシルバー賞を受賞しています。

自身の改善によって、工場の稼働率も高まり、コストダウンへも導ける。これは大学院時代の研究室で行なっていた研究に似ており、成果が出たときは大きなやりがいになっています。工場全体が、いわば大きな実験室と言ってもいいかもしれません。